ペットとお金

知っておきたい!『TNR活動』と助成制度

(キッズ・マネー・ステーション認定講師)

 

ファイナンシャルプランナーの髙柳万里です。

耳の先端をさくらの花びらのようにV字型にカットされた野良猫を見かけたことはありますか。これは「さくら耳」と呼ばれ、その猫が不妊去勢手術済みである目印となっています。今回は猫の不妊去勢手術のための助成金事業についてまとめました。

野良猫にまつわるトラブル

以前、筆者の自宅玄関前の芝生スペースに、野良猫がフンを残していくことが度々ありました。猫が嫌う音波を使った撃退機や、猫が近寄るとセンサーが感知して水がスプレー上に噴射されるタイプの猫除けグッズを設置したりとあれこれ対策した結果、玄関前が猫のトイレにされることはなくなりましたが、猫好きな筆者ですら、フンの処分には毎回辟易したものです。このような糞尿被害に限らず、猫同士のケンカや繁殖期の騒音、餌付けによるトラブルなど、数々の苦情や相談が管轄の保健所や役場窓口に寄せられています。

繁殖力の強い猫は、頭数が増えすぎると地域でのトラブルも増えます。増えすぎた結果、地域で管理できなくなることのないように、地域猫には不妊去勢手術をすることが推進されています。

『地域猫』とは?

「地域猫」とは、「地域で管理されている野良猫」のことです。

飼い主がいない野良猫のなかでも、地域住民の合意とサポートのもとで、特定のエサ場やトイレの場所を設置され、地域で見守られている状態の猫たちのことを指します。このように、地域猫を地域で見守る活動を『地域猫活動』と言います。具体的には、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を施し、元の場所に戻して、ルールやマナーに基づくエサやりや排せつ物の管理、周辺の清掃等の適切な管理行動を、地域住民が主体となって行う活動です。人も猫もより住みよい生活環境をめざすために、地域猫活動は市区町村や保健所により推進されています。

『TNR活動』とは?

地域猫活動の主な活動のひとつが『TNR活動』です。

TNR活動とは、Trap(捕獲し)、Neuter(不妊去勢手術を施し)、Return(元のなわばりに戻す)活動のことです。人間の都合で処分される不幸な猫をこれ以上増やさないためにも不妊去勢手術は必要とされていますが、このTNR活動を支援するための、各団体や市区町村の助成制度の一部をご紹介します。

【公益財団法人 どうぶつ基金】
さくらねこ無料不妊手術事業
殺処分ゼロを目指して、飼い主のいない猫の問題を不妊手術によって解決しようとする行政やボランティアを支援する事業。
どうぶつ基金の審査を経て登録された所定の任意団体等が、全国の協力病院で使用できる無料不妊手術チケットを取得し、TNR活動に役立てている。
【公益財団法人 日本動物愛護協会】
「犬猫の殺処分低減活動」として、全国を対象に飼い主のいない猫の不妊去勢手術費用の一部を助成。飼い主のいない猫の不妊去勢手術1件につき、下記金額を助成。
ただし手術費用が助成金額を下回る場合は支払金額までとなる。
不妊手術(メス) 10,000円
去勢手術(オス) 5,000円
(※指定寄付での事業のため予定金額に達したら終了)
【江戸川区 助成制度】
協力獣医師で手術を受ける場合に、飼い主のいない猫一頭当たり以下の金額を助成。
不妊手術(メス) 25,000円 (妊娠中は35,000円)
去勢手術(オス) 15,000円
(※上記は助成の上限金額)
【川越市 助成制度】
飼い主のいない猫の繁殖抑制を図り、地域の良好な生活環境を促進するため、飼い主のいない猫に不妊・去勢手術を実施する方に対して、その手術費用の一部を補助する事業。
不妊手術(メス) 7,000円
去勢手術(オス) 4,000円
(※上記を限度額とし、手術費用が限度額に満たないときは手術費用とする)

申請期限にご注意

当然ながら、申請には期限や所定の条件があります。期限内に間に合うように余裕を持って申請手続きを行いましょう。また、『不妊去勢手術を受ける前』や、『手術を受けてから30日以内』など、所定の期間内に申請が必要なケースがありますので、あらかじめ申請手続きの流れや諸条件などを一通り確認しておきましょう。

申請期限を過ぎてしまったり、手続きのタイミングを誤るとせっかくの助成制度が適用されないことがあります。また、原則として市区町村が主体となる助成制度や補助制度は、補助金額が予算額に達した時点で終了となります。申請さえすれば無制限に適用されるわけではありませんので、なるべくお早めにお手続きをされることをお勧めします。

『地域猫』にもやさしい社会を

今回、地域により金額や条件に差はあれど、様々な助成制度や補助金事業等が施行されていることがわかりました。動物愛護管理法の基本原則にあるように、すべての人が「動物は命あるもの」であることを認識し、みだりに動物を虐待することのないようにするのみでなく、人間と動物が共に生きていける社会を目指して、飼い主のいない野良猫を『地域猫』として地域全体で見守るしくみづくりが推進されることを期待したいものですね。

※令和4年11月時点での情報です。

カテゴリ:ペットとお金

キッズ・マネー・ステーション認定講師 ファイナンシャルプランナー/キッズ・マネー・ステーション認定講師 金銭教育を受ける機会を得られないまま社会人となり、家計のやりくりに悩んだことから平成二十年FP資格取得。「常識にとらわれず実践から学ぶ!」をモットーに、子どもたちが上手にお金とつきあえる大人になれるよう、試行錯誤しつつ活動中。動物全般大好きです♪

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